「神戸市役所の面白い若手と会ってみませんか?」
地元神戸市の移住促進のお手伝いをしていた豊田にある日こんな声が。もちろんと会ってみると市役所の中で密集市街地の解消を担当している建築職の一才下の男性だった。その彼が共同でこの事業を行った佐藤直雅くんだ。
佐藤くんの何が面白いか、文章には書ききれないがその彼の魅力を端的に表しているのがこのプロジェクトの建付けと目的だと信じこのプロジェクトを紹介したい。
彼は密集市街地の解消担当として灘中央市場のエリアの調査をしていた。密集市街地の解消とは、万が一火事などが起きた際、消防車などの緊急車両が安全・迅速に駆けつけられず延焼するような事故を防ぐべく、多くのケースではディベロッパーなどと共同でそういった古い街並みを整える仕事だ。わかりやすく言えば、親が通っていた市場が自分の世代ではマンションになっている。そのような景色の変化は安全性のために行政の方が汗を流してくれているわけだ。
佐藤くんもその一人。実際に灘中央市場の東側には同じチームの過去の働きかけで現在は売れ筋高級マンションになっている。だが、佐藤くんは端的に言えば灘中央市場に惚れてしまったのだ。そこで、彼は密集市街地解消の新しいモデルを検討したいと考えた。潰してマンション、潰してショッピングモール。そういったものとは違うなにか新しい出口は無いものかと。結果彼は役所職員としてではなく個人として物件と空き地を借りて自分が解消するかもしれない密集市街地に住み始めた。
そこで始めたプロジェクトをいちばたけと言う。いちばたけとは市場+畑のこと。
農業を担当している職員と共同で市場の中の空き地を使って畑を始めたという。神戸の中でも高級住宅街として人気のこのエリアは子どもたちが自然や農といったものに触れる機会が少ない。またたく間にいちばたけは地域の子供達やお母さんのたまり場となった。
そして彼の住む家も単なる家ではなく1Fをそういった畑に集まってくる人たちの為へと開放する住み開きをすることとなった。流動商店と神戸市東京事務所と共同で告知イベント@ことことことぶきと、リノベーションを軸とした神戸ツアーを開催し外からの人が集まれる場の整備の第一歩として壁の工事を行った。
その後も佐藤くんを中心としたコミュニティが場をどんどんと整備し、今ではとても素敵な空間になっている。いちばたけも定期的に開放日が設けられているのでぜひ調べて訪れてほしい。
date | 2019.09 |
client | 兵庫県神戸市 Kobe City Government |
location | 兵庫県神戸市 Kobe, Hyogo |